〜第2回社会的養護セミナー in関西〜
 平成27年2月15日(日)に一般社団法人日本児童養護実践学会関西ブロック主催の第2回社会的養護セミナーが兵庫県西宮市にて開催されました。
 今回は、社会的養護の新たなる視点の可能性として、「児童養護施設実践の新たなる視座としてのソーシャルペダゴギー(Social Pedagogy)を理解する」
とのテーマで甲南大学教授の森茂起氏により、セミナーが開催されました。
 会員の皆さまを始めとして、児童養護施設関係者、児童相談所関係者、大学関係者など49名の方にご参加いただきました。


 森茂起氏は、臨床心理学(Clinical Psychology)、精神分析(Psychoanalysis)、心理療法(Psychotherapy)、心的外傷(Trauma), 児童虐待(Child Abuse)を
専門とされ、関西の児童養護施設の子どものケアなどの支援を実践しています。

 「ペダゴギ―」は、「教育」あるいは「教育学」と訳され、ルソーやペスタロッチなどの伝統に根ざす専門的な「子育て」を指す言葉です。
一般的にイメージされる学校における教科教育は含みまない言葉です。つまりソーシャル・ペダゴギーは、「社会による子育て」を意味し、
ドイツやスイスをはじめとするヨーロッパ諸国では、この領域で働く専門職の人々は「ソーシャル・ペダゴーグ」と呼ばれています。
 ソーシャルペダゴーグの使命は、子どもを社会の一員として世の中に送り出すことであり、「自立」と「自律」に向けて、
社会に必要な「生きる力」を教育するものです。つまり、児童養護施設職員など、社会的養護に携わる専門職は、ソーシャル・ペダゴーグということができます。
 社会による子育ての必要性が議論されている現在、この考え方に照らし、福祉や教育、心理などの専門分野の協働を考えることは、
児童養護実践の役割を理解する上で貴重な視点となることから、第2回セミナーでは、ソーシャル・ペダゴギーの紹介にさらに一歩踏み込んだ形で
「困難な成育史を抱える子どものためのペダゴギ―」として「トラウマ・ペダゴギー」について講演していただき、社会的養護における新機軸について学び多い時間となりました。