第17回研究大会
2025(令和7)年3月8日(土)、四條畷学園短期大学清風学舎を会場として、第8回大会以来9年ぶりに関西の地大阪で開催することができました。
2023(令和5)年こども基本法が制定され「こどもまんなか」を謳い文句にこども家庭庁が発足し2年目を迎えました。各自治体においては、こども計画が策定され「こども施策」が推進されています。こども計画の策定において肝となるのは「子ども等の意見」の反映です。そこで今大会は、「子どもの声を聴く−真の子どもの権利擁護のために−」と銘打ちまして基調講演を特定非営利活動法人ひだまりの丘理事長である蛯沢光氏に「施設の主人公は子どもたち〜当事者・支援者の立場から今伝えたいこと〜」と題しまして社会的養護の当事者として、また支援者として「子どもが主人公の安心安全な生活づくり」や昨今課題の一つとなっている「青年期の自立支援」についてもご自身の体験談を踏まえてお話をして頂きました。そしてまた、子育て支援の事業等を運営する法人経営者の立場から「民主的・建設的な組織やチームづくり」についても触れながら講演全体を通して、新たな実践の一歩になる様にと社会的養護の子どもに寄り添う大人の在り方についてご講演いただきました。
そして、午後からは、研究発表と致しまして4 分科会を設置し、23 題の研究発表をしていただきその内施設等からの実践に基づいた発表が13題ありました。各分科会では、発表者と参加者相互の間で活発な質疑が行われ、実践するものと研究者同士が交流する姿もみられ、実践や研究の発展に繋がる機会になったのではないかと思われます。
今年度施設養護においては、児童の年齢による一律の利用制限の弾力化や、意見徴収等の仕組みの整理などが図られました。そして、家庭養護においては里親支援センターが創設され里親等の支援に充実が図られ、地域社会においては、新しい資格の創設、子ども家庭センターが設立され寄り添いによる支援が取り組まれました。しかし一方で、全国的に児童相談所が次々と立ち上がったものの支援の難しさから多くの離職者が出ています。そういった意味からもこれまでの児童虐待の支援の在り方自体を見直していく時期に来ていると言えるのではないでしょうか。
本研究大会が参加者にとって、日頃の実践を語り合い、議論し、研究を深める機会となると共に、子どもたちの声に真摯に耳を傾けシステムや形だけでない真の子どもの権利擁護について考える機会となったことと確信しています。
大会開催に際しましては、こども家庭庁様をはじめ、公益財団法人原田積善会様、公益財団法人資生堂子ども財団様、社会福祉法人朝日新聞厚生文化事業団様、 社会福祉法人全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会様、社会福祉法人テレビ朝日福祉文化事業団様、社会福祉法人東京都共同募金会様、社会福祉法人東京都社会福祉協議会様、福祉新聞社様よりご支援をいただきました。心よりお礼申し上げます。
第17回研究大会長
四條畷学園短期大学教授 阪野 学
講演
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「施設の主人公は子どもたち〜当事者・支援者の立場から今伝えたいこと〜」
講師 蛯沢 光(えびさわ あきら)氏
分科会研究発表
- 〜第一分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における家庭支援・施設運営@」
1.「地域における児童養護施設の役割−東京育成園がA地区に担う役割」
鹿山 香純(東京育成園 里親等委託調整員)、土屋 龍生(同 ケアワーカー)、朝倉 綾香(同 里親支援専門相談員)
伊藤 正規(同 ケアワーカー)、鈴木 美里(同 栄養士)、久島 士郎(同 事務職員)
2.「児童学は児童養護実践に何をもたらすのか−その理論的および実践的考察から見えてくるもの」
小田桐 忍(聖徳大学 教授)
3.「A施設におけるコミュニティソーシャルワーク実践の再考−職員意識調査から課題を探る」
北川 進(日本社会事業大学 専門職大学院 講師)
4.「こどもの居場所支援事業の取り組みについて」
今井 修(社会福祉法人大和育成園 宇陀ほっとスペースつどい 所長)
5.「保育士養成校学生による地域子育て支援拠点でのオレンジリボン運動の有用性−社会資源育成の観点から」
松本 充史(東海学院大学短期大学部 幼児教育学科講師)
- 〜第二分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における家庭支援・施設運営A」
1.「同一法人における乳児院から児童養護施設への措置変更に係る研究」
林 知然(東洋大学社会 福祉学研究科・山梨県立大学 博士後期課程・専任講師)
2.「児童養護施設における心理的安全性の導入に関する取り組みについて」
人見 禎昭(社会福祉法人 善照学園 心理士)
山本 邑太(姫路日ノ本短期大学 講師)
3.「地域小規模担当者の自主的勉強会の取り組みについて」
勝原 駿(児童養護施設 博愛社 副主任)
4.「里子の自立支援における課題について」
阪野 学(四条畷学園短期大学 教授)
5.「認定前養育里親への意識調査から考察する効果的な里親支援とその可能性」
谷 俊英(大阪大谷大学 専任講師)
- 〜第三分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における生活支援」
1.「好きなものを他者に語るプロセス−その背景について−」
神田 一希(社会福祉法人常徳会 児童養護施設 興正学園)
2.「研修を現場の実践に繋げる取り組み−性教育に関する研修を通して−」
白根 由太郎(社会福祉法人光明会杉並学園 治療指導担当職員)、柏 明莉(同 児童指導員)
萩原 雄一(同 保育士)、日暮 康二(同 保育士)、山崎 菜月(同 保育士)
3.「逆境体験の末、精神疾患を抱えた子どもの児童養護施設でのチーム支援−退所後に自死を図ったAさんへの支援を通して−」
塚本 亜沙美(社会福祉法人常徳会 児童養護施設興正学園 里親支援専門相談員)
4.「施設で生活する子ども達に対するSNSリテラシー教育とは−事例検討から他施設の傾向を探る−」
玉村 京香(東京育成園 ケアワーカー)、梅井 陽子(同 ケアワーカー)、青木 美紗(同 ケアワーカー)
荒尾 優衣( 同 ケアワーカー)、吉浦 碧夏(同 ケアワーカー )、田家 玲奈(同 ケアワーカー )
東 拓史(同 家庭支援専門相談員)、三村 貴紀(同 統括主任)
5.「A児童養護施設における子ども間で発生している性的事故の把握ならびに性的事故の構造を明らかにする調査研究」
林 知然(山梨県立大学 専任講師)、永野 真希(東京家庭学校 総務主任)
- 〜第四分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における自立支援」
1.「自立支援の基盤を整える小学生への学習支援−寺子屋事業−」
鈴木 重男(公益財団法人明日佳 事務局長)
2.「里親委託等を解除された者の生活実態−前回調査との比較から−」
宮地 菜穂子(同朋大学 社会福祉学部 准教授)
3.「児童相談所保護経験者の情報開示に関する考察2−開示した方の想い−」
大村 海太(桜美林大学 准教授)
4.「社会的養護経験者を高等教育機関で受け入れるために」
藪 一裕(京都文教大学 講師)
5.「社会的養護からの大学進学−当事者・伴走者の視点から−」
蛯沢 光(特定非営利活動法人ひだまりの丘 理事長)
6.「自立支援コーディネーターとして考える自立支援−自己理解と自己決定を目指して−」
山東 真以(こばと学園 自立支援コーディネーター)
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